実際の現実に存在するスパイとはかなり違うスパイという存在!

 映画の中に出てくるスパイという物は実際の現実に存在するスパイとはかなり違った物だというのは皆さんも既にご存じかも知れません。日本にも公安調査庁というスパイ組織が存在しますが、そもそも、スパイという物の基本となる行動は、敵対勢力の情報を得るために諜報活動をすることです。この公安調査庁の行っている活動も、それに準じて非常に地味な内容になっています。このページではそんな実際のリアルの世界のスパイと、フィクションの世界のスパイそれぞれがどのように違うのかについて解説していきたいと思います。

現実と違う部分

 そもそもスパイとは、諜報活動を行い、敵対勢力の情報を得るために活動する者をさす言葉ですが、英語においては、敵はスパイ、見方はエージェントと呼ぶのが正しいあり方です。日本では、主に区別せずにどちらも密偵と呼んでいますが、中国では敵を間諜、細作、姦細、敵奸、探子などと呼び、味方を工作人員や政治指導員と呼び分けています。基本的には政治や経済軍事、科学技術に関しての情報を入手し、味方に流すことによって、敵の活動を妨害したり、また敵の妨害から身を守ったりすることを目的としているもので、その活動内容も、実際に現地に潜り、一般人とわからないように生活しながら、それらの情報を秘密裏に本国へと送ることがその代表的な内容です。

 よって映画でよく見られるような大立ち回りを演じることはほとんどありません。古典的な表現にはなってしまいますが「外套と短剣」に代表される地味な活動こそが、本当のスパイの活動なのだといえます。

 実際のスパイは図書館や公的文書などで情報を仕入れたり、テレビの内容、新聞の内容などから情報を手に入れ、そしてその裏付けをとるという事がほとんどで、どこかに潜入して情報を奪い取るという事はなかなかやりません。むしろ、見つかってしまったり、捕まってしまうと、両国間での国際問題になってしまう可能性もありますので、絶対に見つかってはいけない。捕まってはいけないというのがスパイの本質です。

 また、最近では、各国で情報機関が組織されており、その情報機関は組織として情報を集めるので、スパイ個人個人は、その情報を集める目的や、何のためにそれを行っているのかを知らないと言うこともあります。これも、実際の映画とは違うところだと思います。

機関員(インテリジェンスオフィサー)

 一番有名かつ基本的なスパイが、このインテリジェンスオフィサーです。特に外交官や駐在武官として海外に赴任することが多く、特殊な訓練を受けている人物であることがほとんどです。大きな利点としては、やはり外交官であれば、外交特権で、荷物を検閲されなかったり、逮捕できなかったりする点だと思われます。また、大使館などの治外法権エリアを拠点とすることによって本国と暗号通信などを行うことが出来るようになっています。また、外交官の肩書きを持っている政治家や、官僚と言った獲得工作の対象に接触しやすく、スパイ工作を容易に進めることが出来るようになっています。しかし、その一方で、こうした外交官という立場では無く、ビジネスマンだったり、ジャーナリスト、または学者といった民間人として、非公式に海外に赴任するスパイなどもおり、これらは、イリーガルだったり、ノンオフィシャルカバーなどと言われるスパイなのです。ちなみにこれは隠語とはなるのですが、カバーというのはその人物の経歴のことをいい、必ずしもその人物の本当の経歴であるわけではありません。スパイとして活動するのに都合の良いカバー(経歴)を仕立て上げ、完璧にその人物として生きていくということになるのです。ノンオフィシャルカバーとは公的では無いカバーを使ったという意味なのですね。ちなみに勿論これはほとんどの国で違法です。こうした工作を行う際に、異性の機関員が恋愛感情につけこむ手法をとったりまた金銭が利用される場合もあり、さらに機関員自体が全く身分を隠したまま、外交官として接触するケースもあるため、実際にはスパイ容疑に協力していることを自ら自覚せずに協力してしまっていることも多いといいます。

 基本的に機関員は公務員であるため、高給を得る機会は少なく、また特殊なトレーニングの合格者しかなれないため、人材が少なく、また育て上げるのも難しいという状況にあります。

ほかのスパイとは・・

産業スパイ

 二つ目に有名なのがなんと言っても、この産業スパイだと思われます。特にビジネスの世界ではどこに行っても産業スパイがうようよといるのですが、日本では実際にこれらを明確に取り締まるための法律がまだなかったりするので、かなり厳しい部分があるのが実情です。特に、産業スパイは、企業の情報を収集するだけではなく社員を辞職させて、後から引き抜いたり、また労働組合を先導し、企業に損害を与えるなどと言った手法をとることもあります。また、マスコミによって明らかになっている事件で言えば、ロシア軍の情報将校が、ニコンの社員から軍事転用可能な技術を収集した事件、そしてヤマハ発動機を通じて不正に無人ヘリを輸出しようとしていた中国人民解放軍系列の企業といった問題があります。

 これらの産業スパイは企業の情報収集を行うだけでなく、社員の辞職を誘発したり、労働組合を扇動するなど企業に損害を与える場合もあります。また実際のこれらの活動には探偵業者や経営コンサルタントなどが関わることが多く、軍事技術の収集などを目的として外国の情報機関が企業に諜報活動を行う場合もあります。日本で近年発生した事案には、ロシア軍参謀本部情報部(GRU)の情報将校がニコンの社員から軍事転用可能な技術を収集した事件や、中国人民解放軍系の企業がヤマハ発動機を通じて無人ヘリを不正に輸入しようとした事件などがあります。

協力者(エージェント)

 最後に紹介する、現実のスパイにとって重要な要素が、この協力者です。協力者は、機関員の望む情報、資料、物資などを直接獲得したり、その仲介をなす立場にある人で、必ずしも最初から協力者であるわけではないこともあります。たとえば、弱みを握られているから協力しているという人もいますし、スパイがばれ、二重スパイを働かされている場合もあります。特に移民を多く送り出している国では移民のネットワークを利用する事もあり、イスラエル、中国、インドなどがこの手法をよく用いるといわれています。北朝鮮が日本での諜報活動に在日朝鮮人を巻き込む事が多く、彼らは「土台人」などと呼ばれています。現在でも日本で工作員に対してアジトとなる住居や生活費を渡しているなどとして問題になっておりますが、今後これらの活動が見逃され続けていくのかどうかは定かではありません。基本的にこれらの協力者は、危険を伴う任務が多く、敵に捕らわれたら長期間の拘束を受けたり、場合によっては処刑される場合もあります。実際の機関員よりも非常に危険な任務だと言うわけです。